2025年03月07日
障害年金には認定日請求、遡及請求、そして事後重症請求の3つの請求方法があります。
認定日請求は障害認定日(初診日から1年6か月後の日)以降三ヵ月以内の診断書を障害認定日から一年以内に提出することで行う請求方法です。
※初診日とはご病気の症状が出て初めて医師(歯科医師)の診察を受けた日を言います。病名が決まった日ではありません。
※障害認定日とは初診日から1年6か月後の日を言い原則的にこの日から障害年金の請求を行うことが出来るようになります。
遡及請求は障害認定日から一年を過ぎて請求する場合に障害認定日の診断書と現在の病状を記載した診断書二通を提出することで行う請求方法です。
遡及請求の場合は障害認定日から長期間経過しても障害年金の請求を遡って行うことが出来るため、過去の分の年金も一度に請求することが出来ます(最大で5年分)。
事後重症請求は障害認定日以後三か月以内の診断書を提出せず、現在の病状を記載した診断書1通のみを提出して行う障害年金の請求方法です。
事後重症請求について
事後重症請求は原則として障害認定日当時は症状が軽かったがその後重くなり請求時(現在)に障害年金の等級に該当するような病状になったときに行う請求方法です。
一方で上記のように以前は軽かった病状が事後に重くなった場合だけでなく、何らかの理由で障害認定日当時の診断書を入手できなかった場合にも事後重症請求を行うことが出来ます。

事後重症請求が病状が事後に重くなった場合だけでなく障害認定日の診断書を入手できなかった場合にも行うことが可能です。
障害認定日の診断書は障害認定日から時間が経過してしまうとカルテが廃棄される等で入手できなくなる場合があります。担当医が移動してしまったり病院自体が廃院してしまった場合にも障害認定日当時の診断書を入手できなくなる例の一つです。
遡及請求とは障害認定日から一年を超えて障害年金の請求を行う場合に行う請求方法ですね。遡及請求は障害認定日から長期間経過してしまった場合でも行うことができるのでしょうか。


遡及請求は障害認定日から何年経過してしまっても行うことができます。一方で障害年金の請求には消滅時効の考えがあるため最大で5年分のみを受給することが出来ます。
事後重症請求の注意点
65歳以降は請求できない
事後重症請求は65歳以降は行うことができません。正確には65歳の誕生日の前々日まで行う必要があります。
障害年金の請求は65歳を過ぎた場合は障害認定日請求のみが可能で事後重症請求を行うことはできなくなってしまいます。
このため事後重症請求で障害年金の請求を希望する場合は65歳になる前に行う必要があります。
1か月でも早く手続きを行う
事後重症請求の場合、障害年金は手続きが終了した月(書類を年金事務所等に提出し終わった月)の翌月分から受給することができます。
このため月末までにお手続きを終了した場合は翌月分から年金を受給できますが、月を超えてしまった場合は翌々月分からの年金の受給となってしまいます。
例えば3月31日に手続きを終了すれば4月分から年金を受給することができますが一日遅れて4月1日に手続きを終了した場合は5月分から年金を受給することとなり1日遅れただけで一ヶ月分年金を損してしまうことになります。
このため事後重症請求を行う場合にはできるだけ速やかに手続きを終了し月内に手続きを終わらせることが重要です。
遡及請求ができるかどうか検討する
事故重症請求を行う場合には事前に必ず遡及請求ができるかどうかを検討する必要があります。
本来であれば障害認定日の診断書と現在の病状を記載した診断書の両方を提出し遡及請求が可能であったのにもかかわらず現在の病状を記載した診断書のみを提出したために過去の分の年金をもらい損なってしまう場合があります。
このため事後重症請求を行う前に必ず障害認定日当時の診断書が入手できるかどうかを検討し、入手できる場合は現在の病状を記載した診断書とともに障害認定日当時の診断書も提出し遡及請求を行うようにすることが重要です。
事後重症請求の受給事例
受給結果
障害基礎年金2級決定
年金額:816,000円
ご依頼時の様子
ご依頼時は現在の病院で強迫性障害とうつ病と診断されているとのことでした。ご自身でお手続きをすることが難しいのでぜひ手続きの代行を依頼したいとのことでした。このため一度ご面談させていただき今までの経緯についてお話を伺うこととしました。
ご面談場所に伺いましたがなかなか合流することができませんでした。ようやく合流することができお話を伺ったところ現在の病院では強迫性障害と診断されているがうつ病かどうかはもう一度先生に確認しなければ分からないということでした。
このため手続きに必要な範囲でお話をお伺いした後もう一度現在の病院に障害年金の診断書の作成の可否、診断書の作成をしていただく場合の病名について確認することとしました。
後日現在受診している病院に確認したところ現在の病名は強迫性障害でありうつ病で障害年金の診断書を作成することはできないとのことでした。
このためこの時点で遡及請求は困難となり今後は事後重症請求を行っていくこととなりました。
その後の事後重症請求のお手続きの流れ
ご面談時に忘れ物や失くし物、遅刻等が多く人と上手くコミュニケーションをとることが苦手であるとお話を伺いました。また学生の頃に発達障害ではないかと言われたことがあるとのことで、弊所とのご面談時の待ち合わせにも時間が掛かった経緯がありましたので大人の発達障害の詳しい病院をご案内し受診していただくこととなりました。
受診の結果自閉症スペクトラム障害とうつ病と診断され障害年金用の診断書を作成していただき障害年金を無事受給することが出来ました。
手続き後の感想
受診されていた病院では強迫性障害と診断されていたため障害年金の対象とはなりませんでした。
一方でお話を伺ったところ発達障害の症状があったため別の病院をご案内し自閉症スペクトラムという診断を受け無事障害年金を事後重症請求で受けることが出来ました(強迫性障害は神経症のカテゴリーに入るため障害年金の対象とならず遡及請求は出来ませんでした)。
パニック障害やうつ病の裏に発達障害が隠れているケースが大変多いですが精神科の病院でもこのようなケースが見過ごされている場合が多く見受けられます。
カテゴリ:障害年金の基礎知識