障害年金の基礎知識

障害年金の等級のついての絶対に押さえておきたい4つのポイント

障害年金には障害(病状)の程度によっていくつかの等級に分かれています。ここではこの障害年金の等級についてご紹介いたします。

障害年金の等級

障害年金には1級から3級までの等級があるんですよね。
アシスタント
アシスタント
社労士
社労士
そうですね。病状によって1級から3級までの等級に障害年金が認定されます。ただ障害年金3級は障害厚生年金にはありますが障害基礎年金にはありません。このため初診日を基準に初診日当時国民年金の加入されていた場合には3級の病状でも障害年金を受給することはできません。
加入していた年金によって障害年金を受給できない場合があるなんて不公平に感じます。
アシスタント
アシスタント
社労士
社労士
そうだね。ただ厚生年金は社員(個人)が年金保険料を支払うだけでなく企業も半分年金保険料を支払っている関係で広く保護が受けられるようになっています。

各等級の内容

1級から3級はどのような障害の場合にそれぞれの等級に該当するんですか。
アシスタント
アシスタント
社労士
社労士

障害の等級を認定する場合の基準となるものは省令で障害の状態の基本が1級から3級と障害手当金まで下記のように決められています。

1級・・・身体の機能の障害または長期にわたる安静を必要とする病状が日常生活の用便ずることを不能ならしめる程度のものとする。

この日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度とは他人の介助を受けなければほとんど自分の用を弁ずることができない程度のものである。

たとえば身の回りのことはかろうじてできるがそれ以上の活動はできないものまたは行ってはいけないもの、すなわち病院内の生活で言えば活動の範囲が概ねベッド周辺に限られるものであり家庭内の生活で言えば活動の範囲が概ね就床室内に限られるものである。

2級・・・身体の機能の障害または長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活が著しい制限を受けるかまたは日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものとする。

この日常生活が著しい制限を受けるかまたは日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度とは必ずしも他人の助けを借りる必要はないが日常生活は極めて困難で労働による収入を得ることができない程度のものである。

例えば家庭内のきわめて温和な活動(軽食作り、下着程度の洗濯等)はできるがそれ以上の活動はできないものまたは行ってはいけないものすなわち病院内の生活で言えば活動の範囲が概ね病棟内に限られるものであり家庭内の生活で言えば活動の範囲が概ね家屋内に限られるものである。

3級・・・労働に著しい制限を受けるかまたは労働に著しい制限を加えることを必要とする程度のものとする。また傷病が「治らないもの」にあっては労働が制限を受けるかまた労働に制限を加えることを必要とする程度のものとする。(傷病が「治らないもの」については障害手当金に該当する程度の障害の状態がある場合であっても三級に該当する)。

障害手当金・・・「傷病が治ったもの」であって労働が制限を受けるかまたは労働に制限を加えることを必要とする程度のものとする。

※障害手当金は初診日から五年以内に傷病が治り障害手当金の状態に該当しているときに支給されます。

障害治ったから五年以内に行わなければなりません。障害が治ったとは症状が固定し治療を行ってもその効果が出る見込みがないものを言います。精神の障害の場合には傷病が治ったものと認められる場合はあまりありません。

肢体の障害などで(脳梗塞など)傷病が治ったと認められる場合があります。

社労士
社労士
ざっくりだけど1級はご病気で日常生活に著しい支障が生じて外出が難しくいつも誰かに介助してもらう必要がある場合が当たります。また2級も日常生活が著しい支障が生じている場合で就労もできず家族などの介助が必要な場合に該当します。一方3級は就労や日常生活に支障が生じている場合に該当します。精神疾患でフルタイムで働けないような場合は3級に認定される可能性があります。
「日常生活」とは具体的にどのようなことに支障が生じている場合を言いますか。
アシスタント
アシスタント
社労士
社労士
具体的には①食事の支度②入浴、着替え、掃除③金銭の管理④通院⑤人と意思の伝達が出来るか⑥身辺の安全の保持⑦役所や公共施設を利用できるかなどが具体的な基準と言えます。また①~⑦のそれぞれを一人でできるか、それとも援助が必要かどうかで判断されます。これらの内容は請求時に提出しなければならない診断書の内容にもなっています。

精神の障害の等級

各障害の等級

知的障害

1級・・・知的障害があり食事や身の回りのことを行うのに全面的な援助が必要であってかつ会話による意思の疎通が不可能か著しく困難であるため日常生活が困難で常時援助を必要とするもの。

2級・・・知的障害があり食事や身の回りのことなどの基本的な行為を行うのに援助が必要であってかつ会話による意思の疎通が簡単なものに限られるため日常生活にあたって援助が必要なもの。

3級・・・知的障害があり労働が著しい制限を受けるもの。

発達障害

1級・・・発達障害があり社会性やあコミュニケーション能力が欠如しておりかつ著しく不適当な行動が見られるため日常生活への適用が困難で常時援助を必要とするもの。

2級・・・発達障害があり社会性やコミュニケーション能力が乏しくかつふてきような行動が見られるため日常生活への適用に当たって援助が必要なもの。

3級・・・発達障害があり社会性やコミュニケーション能力が不十分でかつ社会行動に問題が見られるため労働が著しい制限を受けるもの。

てんかん

1級・・・十分な治療に関わらずてんかん性発作のAまたはBが月に1回以上ありかつ常時介護が必要なもの。

2級・・・十分な治療に関わらずてんかん性発作のAまたはBが年に2回以上もしくはCまたはDが月に1回以上ありかつ日常生活が著しい制限を受けるもの。

3級・・・十分な治療にかかわらずてんかん性発作のAまたはBが年に2回未満もしくはCまたはDが月に1回未満ありかつ労働が制限を受けるもの。

【発作のタイプ】

A:意識障害を呈し、状況にそぐわない行為を示す発作

B:意識障害の有無を問わず転倒する発作

C:意識を失い行為が途絶するが倒れない発作

D:意識障害はないが随意運動が失われる発作

統合失調症

1級・・・統合失調症によるものにあっては高度の残遺状態または高度の病状があるため高度の人格変化、思考障害、その他、妄想・幻覚等の異常体験が著明なため常時の介護を必要なもの

2級・・・統合失調症によるものにあっては残遺状態または病状があるため人格変化、思考障害その他妄想・幻覚等の異常体験があるため日常生活が著しい制限を受けるもの

3級・・・統合失調症によるものにあっては残遺状態または病状があり人格変化の程度が著しくないが思考障害その他、妄想・幻覚等の異常体験があり労働が制限を受けるもの

双極性障害

1級・・・双極性障害によるものにあっては高度の気分、意欲・行動の障害および高度の思考障害の病相期がありかつこれが持続したり頻繁に繰り返したりするため常時の介護が必要なもの

2級・・・双極性障害によるものにあっては気分、意欲・行動の障害および思考障害の病巣期がありかつこれが持続したりまた頻繁に繰り返したりするため日常生活が著しい制限を受けるもの

3級・・・双極性障害によるものにあっては気分、意欲・行動の障害および思考障害の病相期がありその病状は著しくないがこれが持続したりまた繰り返し労働が制限を受けるもの

肢体の障害の等級

上肢の障害

上肢の障害においてはつまむ、握る、タオルを絞る、紐を結ぶ、匙で食事、顔を洗う用便の処置をする、ズボン着脱、靴下を履くなどの動作において著しく支障が生じている場合または動作が出来ない場合は1級、著しく支障が生じている場合は2級その他支障が生じている場合は3級認定される可能性があります。

下肢の障害

片足で立つ、座る、、深くお辞儀をする、歩く、、立ち上がる、階段を上る、階段を降りるなどの行為において著しく支障が生じているかまたはできない場合1級、著しく支障が生じている場合は2級、支障が生じている場合は3級に該当する可能性があります。

また補助用具の使用でも常時杖や松葉杖、車椅子などの補助用具を使用している場合などはそれぞれ1級~3級のどの等級に該当するかにおいて審査の対象となります。

※上肢のみ下肢のみの障害に比し上肢下肢ともに障害がある場合の方がより上級の等級に該当する可能性が高いといえます。

 

二十歳前傷病による障害基礎年金について重要事項を詳しく解説します

二十歳前傷病による障害基礎年金とは障害年金の初診日が二十歳に達するよりも前にある障害年金のことをいいます。

二十歳前傷病による障害基礎年金には他の障害年金と比べ異なり特徴があります。

二十歳前傷病による障害基礎年金とは

二十歳前傷病による障害基礎年金とは初診日が二十歳の誕生日よりも前にある場合の障害年金を言うんですよね。
アシスタント
アシスタント
社労士
社労士
そうですね。ただ初診日が二十歳前にある場合が全て二十歳前傷病による障害基礎年金として扱われるのではなく①障害認定日以後二十歳に達した時に障害の状態にあるか②障害認定日が二十歳に達した後にある場合は障害認定日に障害等級に該当する場合に二十歳前傷病による障害年金として手続きを行うことが出来ます。

二十歳前傷病による障害基礎年金の所得制限

二十歳前傷病による障害基礎年金の特徴はほかに何かありますか。
アシスタント
アシスタント
社労士
社労士
初診日が二十歳前にあるということですので保険料の納付要件を満たす必要がありません。一方で所得による受給制限があります。保険料の納付要件を満たす必要がないのは二十歳前には国民年金保険料の納付義務がないからです。
所得による受給制限とは何ですか。
アシスタント
アシスタント
社労士
社労士
障害年金の受給は基本的に所得がいくらあっても受給できます。一方で二十歳前傷病による障害基礎年金に該当する場合は一定の所得がある場合は障害年金の半分又は全部が受給停止となります。これは二十歳前傷病による障害年金は国民年金保険料を納めていない場合にも受給できる年金ですので他の障害年金との公平を図るための政策的規定と言えます。
どの位所得があると年金が減額されてしまうんですか。
アシスタント
アシスタント
社労士
社労士
一人世帯で所得が370万4,000円を超えると半額の支給停止になります。また472万1,000円を超えると全額が支給停止となります。
ということは知的障害をお持ちの方で障害者枠で働かれている方や発達障害で働かれている場合にも収入が370万4,000円までなら自身の所得と障害年金を両方もらうことが出来ますね。
アシスタント
アシスタント
社労士
社労士
そうです。また世帯の扶養人数が1人増えるごとに上記の金額に38万円を加算した金額が所得の限度額となります。また扶養対象の親族が老人控除対象配偶者や老人扶養親族の場合には1人につき48万が限度額に増加され、さらに特別扶養親族の場合には63万円が増加されます。

二十歳前の障害基礎年金の初診日の特定

初診日が二十歳前の場合の初診日の特定方法

初診日を特定することは障害年金の請求においては大変重要です。通常はカルテに基づいて受診状況等証明書や診断書で初診日を特定します。

一方で二十歳前に初診日がある場合は初診日から長期間が経過している場合があります。この場合病院にカルテが残っていないことが多く初診日の特定が困難となる場合があります。

このような場合は病院のカルテ以外の証拠(日記、通知書等)で初診日を特定するか、または初診日に関する第三者からの申立書(第三者証明)により初診日を特定することが出来る場合があります。

初診日に関する第三者からの申立書は3親等以内の親族以外の方に発病から初診日までの経緯を書面に記載したもらうことで初診日を特定するものです。

二十歳前の障害基礎年金の場合は原則的に当該申立書があれば初診日は特定され、初診日として認められることが原則となっています。

このように20歳前の障害基礎年金の初診日の特定において特別な扱いがなされているのは20歳以降の場合には国民年金と厚生年金の期間が複雑に入り乱れている場合がありますが立ち絵の場合は原則的に国民年金加入期間とみなされるため厳密に初診日を特定する必要がないからです。

知的障害の場合の初診日

知的障害の場合は生来的なご病気ですので初診日は一律に誕生日となります。生来的なご病気は多くありますが誕生日が初診日と扱われる場合はご病気が知的障害の場合、脳性麻痺の場合です。

発達障害の場合も先天的なご病気とも言えますが症状が成人後に出る場合もあることから実際に初めて受診した日が初診日となります。

 

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